毎日パソコンで作業していると、ときどき「データ復元」が必要な場面に遭遇してしまいます。
- 削除したファイルが、後から必要になった
- 外付けSSDやmicroSDが読み込めない、データが見当たらない
こんなときは、無料の復元ソフトで、手っ取り早く解決していまうのがオススメです。
思っているよりも簡単に、大切なデータを取り戻せるハズです。
今回は、実際に使って分かった「MiniTool Power Data Recovery無料版」の概要や使い方手順、注意点について解説します。
MiniTool Power Data Recovery無料版(V12.5)とは?
まずは概要について解説します。
データ復元に特化した無料のソフトウェア
MiniTool Power Data Recovery(ミニツール パワーデータリカバリー)無料版V12.5は、誤って削除してしまったデータなどを復元できるソフトウェアです。
パソコン(Windows)にインストールして使うタイプのソフトで、ほとんどのファイル形式と、ストレージ・メディアからの救出に対応しています。
用途が復元に特化しており、パーティション管理ソフトなどの簡易復元機能では、困難な作業でも、直感的な操作で簡単に復元できるのが特長です。
無料版と有料版の主な違い
今回利用するMiniTool Power Data Recoveryは「無料版(Free)」です。
一番わかりやすい制限は、復元できるデータが最大1GBまでというところ。
そのほかにも、USBからの起動や作業の効率化といった、特殊な機能は使えません。
しかし、基本的な復元は有料版とほとんど同じなので、気軽に試してみるには十分です。
Free | Personal ※月間サブスク |
Personal ※年間サブスク |
Personal Ultimate ※買い切り |
|
---|---|---|---|---|
価格 | 無料 | 10,450円 | 13,530円 | 15,070円 |
復元可能データ量の制限 | 1GB | 無制限 | 無制限 | 無制限 |
利用可能なPC台数制限 (ライセンスあたり) |
無制限 | 1 | 1 | 3 |
前回スキャン結果の再読み込み | × | ○ | ○ | ○ |
.rssファイルを手動でインポート | × | ○ | ○ | ○ |
ファイルのプレビューに対応 | ○ | ○ | ○ | ○ |
ベーシック/ダイナミックディスクから復元 | ○ | ○ | ○ | ○ |
WinPE Bootable Builder搭載 | × | ○ | ○ | ○ |
アップグレードサービス | 生涯無料 | 1ヶ月間無料 | 一年間無料 | 生涯無料 |
※価格は全て税込
www.powerdatarecovery.com/jp/
インストール時に注意すること
導入手順は多くのソフトウェアと同じ。
まずはWEBからインストーラーをダウンロードします。
公式サイト(www.powerdatarecovery.com/jp/)の「今すぐダウンロード」から入手できます。
インストーラーを起動し「今すぐインストール」を選びます。
後は画面表示に従い、完了まで進みましょう。
ちなみに、インストール中に警告が表示されます。
警告では、復元したいファイルがあったドライブに、インストールしないでと言われています。
問題なければ「はい」を選択で進みます。
【別のドライブにインストールする理由】
そもそも、ゴミ箱を空にしたりフォーマット(クイック)しても、実際のデータはすぐ削除はされるわけではありません。
パソコンから不要なデータとして扱われ、見えなくなっているだけ。
不要なデータは、新たなデータを保存(ソフトウェアインストールを含む)するときに、順次上書きされる仕組みです。
つまり、同じドライブにインストールすると、「復元したいデータ」も上書きされて、復元できなくなることを懸念しているのです。
実際にファイルを復元してみた
使い方手順について解説します。
検証条件
検証として、下記状態のUSBメモリーを復元してみます。
- 画像ファイルを1,000枚保存
- クイックフォーマット
※テスト用に生成したpng画像1000枚
※Windows11環境でクイックフォーマット
1.復元対象の場所を選択
まず初めに、復元したいファイルがあった場所を指定します。
起動直後のトップページでは、「論理ドライブ」一覧と「特定の場所から復元する」が表示されます。
USBなどの外部ストレージは、「デバイス表示」に切り替えると、判別しやすいかもしれませんね。
2.スキャン開始
デバイス脇の「スキャン」をクリック。
じっくりとファイルを探すディープスキャンが開始されます。
スキャン完了までの目安時間は、下部に表示されます。
この目安時間は結構正確なので、終わるまでパソコンの前で待っている必要はありません。
3.復元ファイルの選択と保存
スキャンが完了すると、見つかったファイルが表示されました。
復元したいファイルに、チェックを入れて、保存をクリックします。
無事、何の問題もなく復元が完了しました。
実際に使ってわかった所感と注意点
所感や注意点についても触れておきたいと思います。
簡単操作で高度な復元ができる
複雑になりがちな復元作業を、わずか3ステップで行えるのは大きなメリットです。
- 復元対象の場所を選択
- スキャン開始
- 復元ファイルの選択と保存
UIもシンプルなので、普段からWindowsを利用している方なら、直感だけで迷うことなく操作できるでしょう。
また、RAW(ファイルシステムなどの破損など)からの復元も可能で、予想以上に高性能な印象も受けました。
スキャン結果を絞り込むと効率的
たとえば、スキャンで1万個くらいファイルが見つかると、復元したいファイルを探すのが大変です。
しかし、絞りこみ機能が充実しているので、無駄なく効率的な復元ができます。
具体的をいくつかあげておきたいと思います。
ファイル名が分かるなら検索
復元したいファイル名が分かっている時は、検索がオススメです。
検索した文字例を含むファイルだけを、一覧で表示できます。
フィルターで絞り込める
ファイル名を覚えいないときは、フィルター機能の活用が合理的です。
フィルター(ファイルタイプ・更新日時・ファイルサイズ・ファイルカテゴリー)を組み合わせて使うことで、詳細にファイルを絞り混むことができます。
例えば「過去1日以内に削除した画像ファイル」などに限定することなども可能。
なお、指定できるフィルタは下記のとおり。
Power Data Recovery無料版v12.5のフィルタ一覧
ファイルタイプ
- 画像
- ビデオ
- 音声
- ドキュメント
- Eメール
- データベース
- アーカイブ
更新日時
- 過去1日
- 過去1週間
- 過去1ヶ月
- カスタマイズ
ファイルサイズ
- 1MB未満
- 1MB~100MB
- 100MB~1GB
- 1GB以上
- カスタマイズ
ファイルカテゴリー
- 全てのファイル
- 削除されたファイル
プレビュー機能が便利
プレビュー機能が便利です。
スキャンされたファイルは、復元前にプレビュー機能で内容を確認できます。
事前に内容を確認することで、不要なファイルを復元したり、無駄なチェック時間が減ります。
無料版の制限は累計
既に述べましたが、無料版には1GBの復元制限があります。
少し誤解されやすいポイントなので補足しておくと、「1GBまでなら何度でも無料で復元できる」という意味ではありません。
復元できるのは「累計」で1GBまで。
この制限を超えてデータを復元したい場合は、有料版(無制限)へのアップグレードを検討する必要があります。
※無料枠を使い切るとアップグレードを促す案内
まずは無料版で、プレビュー機能を使って、本当に必要なファイルだけを厳選して復元する、使い方がオススメです。
すぐ上限に達してしまう方は、有償版への移行すると幸せになれそうです。
HTMLやTXTを復元するなら要設定
デフォルト設定では、「HTML」や「TXT」などのファイル形式がスキャン対象外となっています。
これらのファイルを復元対象に含めたい場合は、事前に設定(サイドバー → スキャン設定)の変更が必要です。
ストレージ性能はスキャン速度にも影響
スキャンに掛かる時間は、ストレージ性能にも影響されます。
高速なストレージを使っている場合、速度のボトルネックを避けることが、スキャン時間短縮のポイント。
試しに、USB3.0対応とUSB2.0対応の、USBメモリーを用意し、検証してみました。
ストレージの性能差はこのくらい。
両USBメモリーを下記状態にして、スキャン速度を比べてみました。
- フルフォーマット
- 1000個の画像ファイルを保存
- クイックフォーマット
USBメモリー(USB3.0対応)は、約18分くらい。
USBメモリー(USB2.0対応)は、約32分くらい。
実際の速度はさまざまな要因によって左右されますが、対象となるドライブが高速であるに越したことはありません。
NVMeなどの高速ストレージを外付けで使用している場合は、外付けケースの性能にも注意が必要です。
フルフォーマット後は復元不可
Windows 11でフルフォーマットを行ったストレージは、データの復元ができませんでした。
あらゆる状況で検証したわけではありませんが、復元の可能性が大幅に低下するのは間違いないでしょう。
日常的にフルフォーマットや物理フォーマットを使う場面は多くないと思いますが、復元の可能性を残しておきたいドライブは、クイックフォーマットで運用するのが無難ですね。
まとめ
良いところ
- 無料で復元できる
- 3ステップで簡単に復元できる
- スキャン結果を詳細に絞り込める
留意すること
- 無料版の1GB制限は累計
- htmlやtxtをを復元するなら事前に設定が必要
- ストレージの速度はスキャン時間にも影響
簡単にファイルを復元できる無料ツール
無料ですが普通に復元出来てしまう、便利なツールでした。
1GBのデータ量制限にさえ注意すれば、操作も簡単なので、初心者でも失敗することはすくないでしょう。
MiniToolのPower Data Recoveryは、重要なデータを救出したいけど、あまりお金を掛けたいくない方に、試してほしい復元ソフトです。